大判例

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東京高等裁判所 昭和54年(ネ)2502号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

右事実関係によれば、控訴人はその経営する写真店が倒産し、営業の中心人物であつた佐藤正が行方不明となつたために困り果て、残された唯一の財産というべき本件建物の所有権と、本件土地の賃借権を最大限に利用又は換価して債務の弁済に努めることを当面の目的と考え、債権者の一人である外山正にその目的に従つた処置を委ねたものと認められ、このこと自体は賃貸人に対する背信行為といえないことが明らかである。更に証人外山正の証言(原審、当審)によれば、控訴人は昭和五二年四月頃外山を通じて、被控訴人に本件建物の買取の意思あるいは本件土地賃借権を第三者に譲渡することについての承諾の意思を打診したが、いずれも否定されたため、同年五月宇都宮地方裁判所に、被控訴人を相手方として賃借権譲渡の承諾に代わる許可を求める申立をしたが、許否の裁判が行なわれないうち、昭和五三年一月被控訴人から本訴を提起されるに至り、やむなく外山を通じて明石土地株式会社と本件建物(本件土地ではない)の賃貸借契約を締結したところ、被控訴人の申請に基づく仮処分執行のため、右会社の建物使用は不可能になつたことが認められる。かような経緯を観察すると、控訴人が適法な手段による本件建物あるいは本件土地賃借権の利用又は処分を考慮していたことが窺われるのであつて、その行為を目して被控訴人に対する背信行為とするのは相当でない。又、控訴人は現在老人ホームに起居し、年令も七〇歳を超えるから、本件建物と本件土地を自らの営業のために使用する能力を失つていると思われるけれども、その能力を有しないことがただちに賃貸人に対する信頼関係を破壊することにならないのは、いうまでもない。

(吉岡進 吉江清景 手代木進)

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